民事事件
宇奈月温泉事件(権利濫用の法理)
自分の土地をほんの少し通っているというだけの理由で、「温泉のお湯を引く管を、まるごと全部撤去しろ」と言われたら――?
大審院(現在の最高裁にあたる旧制度上の最上級審)・1935年(昭和10年)10月5日・大判昭和10年10月5日民集14巻1965頁
事件の概要
宇奈月温泉の会社は、7.5km離れた源泉から温泉を引くため、多額の費用をかけて地下に引湯管を埋設していた。ところが、その引湯管がわずかに通っている土地(本来の利用価値はごくわずかな部分)だけを後から買い取った人物が現れ、「自分の土地の所有権を侵害している」として、引湯管全体の撤去と、応じなければ多額の金銭を支払うよう温泉会社に求めた。
法廷でのやり取り
👨💼 原告(土地の買主)
私の土地に無断で引湯管が通っています。所有権の侵害です。すぐに撤去してください。
🧑⚖️ 被告(温泉会社)
この管を撤去するには莫大な費用がかかり、多くの人が困ります。しかも、あなたはこの管が通っているとわかった上で、あえてこの土地を買ったのではないですか?
📜 所有権の侵害はたしかに存在します。それでも、撤去を全面的に認めるべきなのでしょうか。
あなたが裁判官なら?
所有権はたしかに侵害されているが、撤去には莫大な費用がかかり、他方で買い取った土地部分の実際の価値はごくわずかである場合、裁判所は所有者の撤去請求をそのまま認めるべきか。
※ このコンテンツは教育・エンターテインメント目的で実際の判例を簡略化して紹介しており、法的助言ではありません。用語の下線をタップすると、やさしい解説が表示されます。